kosukehirai

これは備忘録若しくは何年後かの私に向けたメッセージ

2020-01-01から1年間の記事一覧

老婆の彼女#3

※これは僕の空想上の自分である。エッセイ風の小説だ。 老婆はため息なのか深呼吸なのかわからないほどの息を吐き、口を開いた。 「当時、付き合っていた。」 僕は動揺してしまった。それでも平然を装わなければいけないと思い、唇を噛んで深く頷いた。足は…

老婆の彼女#2

※これは僕の空想上の自分である。エッセイ風の小説だ。 中からはいかにも老婆らしい老婆が出てきた。真っ白で縮れた髪の束を後ろの方で結って丸めている。 血管の浮き出た左手に右手を重ね、両腕で握られた杖が腰を支えている。第三の足だ。そう思ってしまう…

老婆の彼女#1

※これは僕の空想上の自分である。エッセイ風の小説だ。 時計を確認すると夕方の5時半だった。 僕は久しぶりに通った道に奇妙な一軒家を見つけた。壁一面がツタで覆われていて、ところどころに名前も知らない花があしらわれている。 西日は鋭く僕らを照らし…

ぼくは何人間#2

※これは僕の空想上の自分である。エッセイ風の小説だ。 「コンビニ人間」は面白くて一気に読み終えてしまった。文庫本の中では薄い方であるから集中力も途切れることは無かった。 こんなにも一冊の本を一日で一気に読み終えてしまうのは初めての体験であった…

ぼくは何人間#1

※これは僕の空想上の自分である。エッセイ風の小説だ。 有隣堂書店にいる時、「コンビニ人間」という小説に目が留まった。この小説は芥川賞受賞作であり非常に有名であるし、名前だけでも聞いたことがあるという方も多いのではないだろか。 最近、僕の中で「…